社会保障、手厚くすべき?
──でも「なぜ?」は、人によって全然ちがう。
A ── ふつうの感覚

「身近で困っている人を、もっと支えたいから。」

B ── 一歩深い

「みんなで支え合う仕組みがあって、初めて安心できるから。」

C ── かなり先を読む

「『困っている人のため』── ええ、ついでに、お金が届くまでの通り道にいる私たちの仕事もね。」── そこまで計算してる

同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。

そして「困っている人のため」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。

※この1枚も、立ち止まってもらうために、わざと単純にしてある。「何も知らない人」は悪口ではなく、興味のない話題での私たち全員のこと。「なぜ?」の中身は、この下に ↓
このページは、「読み方」(3つの問い・4つの約束)が前提です。はじめての方は、先にそちらを。
賛成

「もっと手厚く」の人は、何を見てる?

同じ「賛成」でも、理由も深さもこんなに違う
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

身近に介護や医療で苦しんでいる人がいて、もっと支えがあってほしいと感じたから。

考えると

自分や家族が制度に助けられた経験があって、これはなくしてはいけないと思ったから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が得をするから
すぐ思う

自分や家族が困ったとき、ちゃんと使える制度があったら助かるから。

考えると

公の支えが薄くなると、結局は自分の貯金や時間が削られると思うから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

困っている人を支えるのは、当たり前の社会のあり方だと思うから。

考えると

みんなで支え合う仕組みがあって、初めて安心して生きられると思うから。

深く読むと

支えの網は、落ちた人のためだけにあるのではない。網があるから人は思い切って跳べる ── 跳ぶ人の数が、社会の強さになる。

ただし本当に強くなるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

医療・介護・福祉の業界では、国の給付がそのまま売上の入り口になる。給付が増えるほど、仕事も組織も大きくできるから。

深く読むと

「困っている人のため」と言いながら ── そのお金は、困っている人に届く前に必ず団体や業界の手を通る。増やしたいのは、その手の中に残る分。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「困っている人のため」。中身は、お金の通り道で手元に残る分。反対側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「弱い側に立てる人」でありたいから。

考えると

優しさや支え合いを大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「支える側に立つ自分」でいれば、減らす話をする人に「冷たい」という札を貼れる。優しさは、議論の武器にもなる。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

いつ自分が、支えが必要な側になるか分からない不安があるから。

考えると

制度がやせていく将来の景色が浮かんで、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

身近の「もっと支えてほしい」という声に、うなずいてきたから。うなずいた回数だけ、それは自分の意見になっていく。

考えると

介護や病気の話で「大変だよね」と言い合う輪のなかでは、「でもお金はどうする」とは言い出しにくい。黙ることも、合わせ方のひとつ。

反対

「抑制・効率化を」の人は、何を見てる?

同じ「反対」でも、理由も深さもこんなに違う ── 賛成側とまったく同じ目で見ます
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

自分の給料から引かれる社会保険料が、どんどん上がっていく経験をしてきたから。

考えると

働いても働いても、自分の手取りが増えない経験を、長くしてきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が損をするから
すぐ思う

現役世代の負担がこれ以上重くなるのは、率直に嫌だから。

考えると

制度の取り分が大きくなるほど、自分の自由に使えるお金が減るから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

制度に頼りすぎず、自分でできることは自分で、と思っているから。

考えると

ぬるい制度は、結局は頑張る人の足を引っ張ることになると思うから。

深く読むと

支えの網は、現役の肩が下から担いで張られている。網を厚くし続ければ、先に破れるのは網ではなく、担いでいる肩のほう。

ただし本当にもたないかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

社会保険料は、会社が半分払う決まりになっている。給付が膨らむほど、人をひとり雇う重さが増していくから。

深く読むと

「将来世代のため」と言いながら、本当は自分の保険料と税金を、これ以上増やされたくない。その「みんなの節約」は、いつも自分以外のところから始まる。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「将来世代のため」。中身は、自分の負担からは始まらない節約。賛成側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「現実を見て判断できる人」でありたいから。

考えると

将来や次の世代を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「現実が見える自分」でいれば、手厚くしようと言う人に「甘い」という札を貼れる。冷静さも、議論の武器になる。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

このまま給付を増やすと、自分の老後にお金が残らない景色が浮かんで、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。

考えると

働く人がどんどん減って、負担だけ増えていく未来が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

給与明細を見て「引かれすぎ」と言い合う輪にいるから。輪のなかの言葉は、いつのまにか自分の言葉になる。

考えると

同世代と「払うばかりだね」と言い合うたび、あきらめの空気は濃くなる。その空気には、自分の一言も混ざっている。