「同性で暮らす友人を見てると、普通の家族に見えるから。」
「誰を好きになるかで、人の権利に差をつけるのはおかしいから。」
「『平等と人権のため』── ええ、ついでに、決着がつくまで降ろさずにすむ旗もね。」── そこまで計算してる
同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。
そして「平等と人権のため」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。
身近に同性のパートナーと暮らしている友人がいて、普通の家族だ、と感じてきたから。
自分や周りで、好きな人を選ぶ自由は誰にもある、と実感してきたから。
もし自分や家族が同性のパートナーを選んだとき、ちゃんと守られる方が安心だから。
家族として法的に認められれば、医療や相続や住まいで、自分や家族が困らなくなるから。
誰を好きになるかで、人の権利に差をつけるのはおかしいと思うから。
家族のかたちは一つではなくて、それぞれの選択を等しく尊重するべきだと思うから。
「入りたい」と望む人が増える制度は、壊れかけているのではなく、信頼されている ── 同性婚は結婚を弱らせるどころか、結婚の値打ちの証明になる。
政党や運動にとって、これは「認める」と言うだけで、若い世代から「分かっている側」と見てもらえる議題だから。
「平等」「人権」と言いながら、本当は困っている二人の物語を支持と票に変えたい政治や運動がある。制度が変わらないあいだ、この旗はずっと使える ── 当の二人の暮らしが進まなくても、旗を振る側の支持は積み上がる。
「多様な人を当たり前に受け入れる人」でありたいから。
平等や多様さを大事にする仲間と、考えを合わせたいから。
賛成と言えば、今日から「やさしい側」に立てる ── 二人の暮らしは何も変わらなくても、自分の見られ方はすぐ変わる。
自分や家族の誰かが、好きな人と一緒にいられない将来が、こわいから。
人の権利に差がある社会が続く未来が、不安だから。
友人との会話では「もう認めればいいのに」が当たり前で、自分もそのつもりで話してきたから。
「日本は遅れてる」の輪のなかで、「急がない人の理由も聞きたい」とは言いにくい。言わずにうなずく自分も、その空気を作っている一人。
身近で家族の伝統的なかたちを大切にしてきた経験があって、急な変化に戸惑うから。
自分が育った社会のルールが、急に変わるのは違和感がある、と感じてきたから。
自分の暮らしに直接関わらないので、急いで法律を変える必要を感じないから。
制度が変わると、家族や相続のルールも変わって、自分の周りで手続きの混乱が出ると思うから。
結婚は男性と女性のかたちで続いてきたから、それを変えるのには重さが必要だと思うから。
家族の意味や、伝統や信仰の考えを、軽く扱うべきではないと思うから。
結婚の決まりは、長い時間をかけて角が取れてきた石垣のようなもの。一つ動かすだけのつもりでも、どこに力がかかっていたかは、動かしてみるまで分からない。
政党や運動にとって、これは「守る」と言い続けるだけで、変化を不安に思う層から「止めてくれる側」と認めてもらえる議題だから。
「伝統」「信仰」「家族」と言いながら、本当は「守る側」の物語で保守の票を束ねたい政治や運動がある。攻められているあいだは旗を降ろさなくていい ── 守りの旗も、決着がつかないほど長く使える。
「日本の伝統を大事にする人」でありたいから。
家族や信仰を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。
反対と言えば、「流行に流されない側」に立てる ── 信仰や家族への思いより先に、その立ち姿のほうが仲間に伝わる。
家族や社会の基本が、急に変わっていくのが、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。
子どもに「家族とは」をどう話せばいいのか、自分の中の説明が追いつかなくなる気がして、不安だから。
家族や昔からの仲間うちでは「急に変えなくても」が普通の感覚で、自分もそのなかで話してきたから。
親しい集まりで「結婚はやっぱり男女のもの」と空気がそろうとき、「認めてもいいんじゃない」とは言い出しにくい。合わせてうなずく自分も、その空気の一部。