原発、動かすべき?
──でも「なぜ?」は、人によって全然ちがう。
A ── ふつうの感覚

「電気が足りなくなるのは、こわいから。」

B ── 一歩深い

「環境にやさしい電気を、大量に安定して出せる手段は手放せない。」

C ── かなり先を読む

「『電気の安定と環境のため』── ええ、ついでに、動かしてはじめて元が取れる設備の事情もね。」── そこまで計算してる

同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。

そして「電気の安定と環境のため」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。

※この1枚も、立ち止まってもらうために、わざと単純にしてある。「何も知らない人」は悪口ではなく、興味のない話題での私たち全員のこと。「なぜ?」の中身は、この下に ↓
このページは、「読み方」(3つの問い・4つの約束)が前提です。はじめての方は、先にそちらを。
賛成

「動かす」の人は、何を見てる?

同じ「賛成」でも、理由も深さもこんなに違う
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

夏や冬に電気が足りないかも、と言われたときに、不安な経験をしたから。

考えると

電気代が上がるたびに、生活も会社も苦しくなる経験をしてきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が得をするから
すぐ思う

電気代が安定する方が、家計にとってありがたいから。

考えると

電気代が落ち着くと、自分の業界の生産コストも下がって助かると思うから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

すでにある設備を使わないのは、もったいないと思うから。

考えると

環境にやさしい電気を、安定して大量に出せる手段を、簡単に捨てるべきではないと思うから。

深く読むと

原発をやめても、危なさは消えない。燃やす空気の側か、燃料を運んでくる海の向こうか ── 置き場所が変わるだけで、危なさを置かずにすむ場所はない。

ただし本当にそうかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

すでに建ててしまった発電所は、動かさなければ、ただの巨大な借金として残るから。

深く読むと

「電気の安定」「環境のため」と言いながら ── それは、動かせば設備の元が取れ、止めれば全部が損になる側の言葉でもある。発電所のある町も、担当する役所も、動くほど入るお金と仕事が増えて、同じ「動かす」側に並ぶ。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「電気の安定と環境」。中身は、止めれば全部損になる設備側の事情と、発電所のある町と役所の予算。反対側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「現実を見て判断できる人」でありたいから。

考えると

技術や合理性を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「嫌われても現実を語れる自分」── そう名乗れた瞬間から、不安の声が「分かっていない人の声」に聞こえはじめる。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

電気が足りなくなる将来が、こわいから。

考えると

電気代が高すぎて、産業も家計も沈む未来が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

電気代の明細を見せ合って「高いよね」と言い合う、その輪の中に自分もいるから。

考えると

「結局、動かすしかないでしょ」という職場の空気の中では、危なさの話を蒸し返すのは野暮に見える。野暮に見えること自体が、空気の力。

反対

「動かすべきでない」の人は、何を見てる?

同じ「反対」でも、理由も深さもこんなに違う ── 賛成側とまったく同じ目で見ます
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

身近で、事故の影響で生活や故郷を失った人の話を聞いてきて、こわいと感じたから。

考えると

自分や家族が、事故のあと不安と隣り合わせで暮らした経験があるから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が損をするから
すぐ思う

事故が起きたら、自分や家族の暮らしが一気に壊れるのが、率直に嫌だから。

考えると

結局、廃炉や事故処理のコストが、税金や電気代で自分に回ってくると思うから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

人の手に負えない事故が一度でも起きるなら、使わない方がいいと思うから。

考えると

子どもや孫の世代に、長く残るゴミと不安を渡すのは、無責任だと思うから。

深く読むと

ほかの失敗は、お金と年月で取り返せる。原発の大事故だけは、故郷ごと持っていって返さない ── めったに起きないことと、起きてもいいことは、別の話。

ただし本当にそうかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

太陽光や風力を売る側にとって、原発が空けた分の市場は、そのまま商売の場所になるから。

深く読むと

「子どもたちの安全」と言いながら ── その旗の隣には、原発が空けた市場を取りたい太陽光や風力の商売と、反対の声を支持に変えたい運動の側も立っている。声が本物であるほど、隣に立つ者は見えにくい。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「安全と環境」。中身は、空いた市場を狙う商売と、声を支持に変えたい運動。賛成側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「未来の世代の側に立てる人」でありたいから。

考えると

環境や安全を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「子どもたちの未来を守る自分」── そう名乗れた瞬間から、賛成の声が「お金の側の声」に聞こえはじめる。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

もう一度大きな事故が起きる景色が浮かんで、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。

考えると

長く残るゴミと事故のコストが、未来にのしかかる景色が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

事故の映像を覚えている人どうしの会話は、「こわいね」から始まる ── 自分もそこから外れたことがないから。

考えると

「子どもがいる場所で動かすなんて」という輪の中で、「でも電気代が」とは言い出しにくい。その言い出しにくさを、自分も一人分、作っている。