クビにしやすく、するべき?
──でも「なぜ?」は、人によって全然ちがう。
A ── ふつうの感覚

「動きたい人が動けない社会って、息苦しいから。」

B ── 一歩深い

「人がちゃんと入れ替わる方が、結局は給料も上がるから。」

C ── かなり先を読む

「『人が動きやすくなる社会のため』── ええ、ついでに、私たちが人を切るときの身軽さもね。」── そこまで計算してる

同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。

そして「人が動きやすくなる社会のため」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。

※この1枚も、立ち止まってもらうために、わざと単純にしてある。「何も知らない人」は悪口ではなく、興味のない話題での私たち全員のこと。「なぜ?」の中身は、この下に ↓
このページは、「読み方」(3つの問い・4つの約束)が前提です。はじめての方は、先にそちらを。
賛成

「緩和した方がいい」の人は、何を見てる?

同じ「賛成」でも、理由も深さもこんなに違う
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

自分や友人が、転職したくても今の会社で身動きが取れない経験をしてきたから。

考えると

同じ部署に全然働かない人がいて、その分を周りでかぶる職場を経験してきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が得をするから
すぐ思う

動きやすい会社で働ける方が、自分のキャリアにとって得だと思うから。

考えると

人がきちんと入れ替わる組織の方が、評価されて給料も上がると思うから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

働かない人と頑張る人が、同じ給料というのは、公平じゃないと思うから。

考えると

人が自由に動ける社会の方が、健全な働き方だと思うから。

深く読むと

雇用を守る壁は、いま中にいる人のための壁でもある。外で立ち尽くす人からは壁しか見えない ── 低くして人が動き出せば、全体の給料も上がっていく。

ただし本当に上がるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

雇う約束が軽くなるほど、経営は身軽に動けるようになるから。

深く読むと

「挑戦できる社会」「人が動きやすくなる」と言いながら ── それは、人を切るときの痛みと費用が軽くなる社会でもある。挑戦するのは働く人で、身軽になるのは切る側。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「挑戦と動きやすさ」。中身は、人を切るときの痛みと費用の軽さ。反対側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「自分の力で道を切り開く人」でありたいから。

考えると

挑戦や自己責任を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「守られなくても勝負できる自分」── 賛成と言うとき、人は意見と一緒に、その自己紹介も口にしている。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

今の動かない仕組みのまま続くと、日本全体が沈んでいくのが、ばくぜんと怖いから。

考えると

自分の会社が古い慣行で動けず、いつか取り残される景色が浮かんで、怖いから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

まわりが次々と転職していくなかで、「動けない方が変だ」という感覚が、いつのまにか自分のものになっていたから。

考えると

「いつまでその会社にいるの?」と聞かれる飲み会で、守られていたい、とは言いづらい。動く人をほめる空気は、こうして一人ずつ増えていく。

反対

「雇用は守る」の人は、何を見てる?

同じ「反対」でも、理由も深さもこんなに違う ── 賛成側とまったく同じ目で見ます
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

身近で、会社都合の退職や突然の雇い止めの話を聞いて、こわい思いをしたから。

考えると

家族や友人が、突然仕事を失って、生活が一気に崩れたのを見てきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が損をするから
すぐ思う

自分が今の会社で積み上げてきた立場が、簡単に消えるのは嫌だから。

考えると

キャリアの途中で気軽に切られたら、自分の生活設計が成り立たないから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

働く人を守ることは、人を大事にする社会の最低限だと思うから。

考えると

強い立場と弱い立場のバランスを取るのが、本来のルールの役目だと思うから。

深く読むと

先の見える雇用があるから、人は家を買い、子どもを育て、腰を据えた仕事に打ち込める。切りやすい社会が手に入れる身軽さは、誰も根を張らなくなる身軽さでもある。

ただし本当にそうなるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

働く人をまとめる組合は、「守る」仕組みがあってこそ、まとめ役としての出番と力を保てるから。

深く読むと

「働く人を守れ」と言いながら ── 本当に守られているのは、いま席のある人の席。入口の外で待っている人は、その「働く人」に数えられていない。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「働く人を守る」。中身は、いま席のある人の席の防衛。賛成側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「働く人の側に立てる人」でありたいから。

考えると

弱い立場の人を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

反対と言えば、「人を大事にする側」に並べる。緩和を口にする人へ「冷たい」のひとことで返せる強さも、そこに含まれている。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

いつ自分が切られるか分からない社会は、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。

考えると

家のローンや教育費がある中で、収入が突然消える景色が浮かんで、怖いから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

「クビが簡単になるらしい」の一言で職場がざわつく ── そのざわつきが、そのまま自分の意見になっていたから。

考えると

「うちの会社は大丈夫かな」と言い合う職場で、「切りやすい社会にも良い面はある」とは言いにくい。口にしない人の数だけ、空気は固まっていく。