「役所の手続きが、カードでぐっと早くなったから。」
「紙とハンコの行政を、いつまで続けるのかと思うから。」
「『行政の効率化』── ええ、ついでに私たちの権限と事業もね。」── そこまで計算してる
同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。
そして「行政の効率化」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。
役所の手続きが、カードのおかげで早く終わった経験があるから。
自分や家族が、引っ越しや確定申告の場面で、カードがあって助かった経験があるから。
いろいろな手続きが家からできれば、自分の時間が節約できるから。
ポイント還元や、マイナ保険証で薬や治療の記録がすっと伝わるなど、実際に得をしてきたから。
行政の仕組みも、時代に合わせて変わるべきだと思うから。
役所の窓口で待たされる無駄な時間を、社会全体で減らすべきだと思うから。
紙とハンコには、それで回ってきた仕事の数だけ、やめられない理由がある。「少しずつ」を待っていたら、永遠に変わらない。
カードや仕組みを作る業界、行政のデジタル化に関わる業界は、推進で事業と契約が大きく動くから。
「行政の効率化」「国民の便利」と言いながら、本当は ── 仕組みを作る業界や担当の役所が予算と権限を広げたい場合もあれば、行政の側が国民の所得や資産を見えるようにして、税や給付を動かしやすくしたい場合もある。
「現実を見て判断できる人」でありたいから。
効率や合理性を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。
「新しい仕組みを使いこなす側」に立てば、戸惑う人への説明は「慣れの問題」で済ませられる ── 便利さは、立場の見せ方にもなる。
このまま紙の手続きや紙の保険証のままだと、医療も行政も遅いままで、日本だけ取り残される未来が、こわいから。
行政が動かない国で、自分の暮らしの先行きが見えなくなる景色が、不安だから。
まわりが次々にカードで手続きを済ませるのを見て、「持ってないと損」が、いつのまにか自分の感覚になっていたから。
「まだ紙でやってるの?」の一言が、職場で軽い笑いになる ── 笑う側にいるうちに、賛成が自分の意見になっていく。
身近で、マイナ保険証の紐づけミスや、紙の健康保険証が無くなることへの不安の声を、繰り返し聞いてきたから。
自分や家族が、申請や読み取りの場面で、仕組みに振り回された経験があるから。
自分の情報が一カ所にまとめられるのは、率直にこわいから。
いったん情報が漏れたら、取り戻せない損害になると思うから。
政府が個人情報をまとめて持つこと自体に、根本的に信用できない気持ちがあるから。
お上のやることに、すぐには従わない方がいい、という気持ちが自分の根っこにあるから。仕組みが本当に安全になってからでも遅くないと思うから。
鍵は一本にまとめるほど便利になり、落としたときの損も一カ所に集まる。便利と危うさは、同じ仕組みの表と裏。
紙の手続きで食べてきた業界や、書類仕事の専門家は、デジタル化で仕事の中身が大きく変わるから。
「プライバシーを守る」「情報が危ない」と言いながら、本当は ── 紙の仕組みのなかで位置を持ってきた側が既得を守りたい場合もあれば、収入や取引を正確に把握されると都合が悪い人が、今の「見えにくさ」を保ちたい場合もある。
「自分の情報を自分で守る人」でありたいから。
個人の自由やプライバシーを大事にする仲間と、考えを合わせたいから。
「自分の情報は自分で守る」と言えば、それだけで慎重で賢い人に見える ── 持たないという選択が、その人の名札になる。
いつ自分のカードが読み取れなくなって、医療や行政の窓口で困る将来が、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。
自分の情報が知らないうちに使われ、仕組みがどんどん広がって監視に近づいていく未来が、不安だから。
身近で「マイナはこわい」「あれは大丈夫?」という声を、繰り返し聞いてきたから。
不具合のニュースに「ほらね」と言い合う輪では、「うちは便利に使えてるよ」とは言い出しにくい。言わない分だけ、こわさの話が場に残っていく。