最低賃金、上げるべき?
──でも「なぜ?」は、人によって全然ちがう。
A ── ふつうの感覚

「安い時給で働く人の苦しさを、知っているから。」

B ── 一歩深い

「賃上げで使えるお金が増えて、景気が回ると思うから。」

C ── かなり先を読む

「『働く人のため』── ええ、ついでに、上がっても上がらなくても増える、私たちの出番もね。」── そこまで計算してる

同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。

そして「働く人のため」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。

※この1枚も、立ち止まってもらうために、わざと単純にしてある。「何も知らない人」は悪口ではなく、興味のない話題での私たち全員のこと。「なぜ?」の中身は、この下に ↓
このページは、「読み方」(3つの問い・4つの約束)が前提です。はじめての方は、先にそちらを。
賛成

「最低賃金を上げる」の人は、何を見てる?

同じ「賛成」でも、理由も深さもこんなに違う
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

自分や家族が安い時給で働いていて、生活の苦しさを知っているから。

考えると

身近で、最低賃金ぎりぎりで働く人の暮らしの厳しさを、近くで見てきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が得をするから
すぐ思う

自分の時給が上がれば、素直にうれしいから。

考えると

賃上げで使えるお金が増えて、景気が回ると思うから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

働いた人が、最低限の暮らしができる賃金をもらえるのは、当たり前のことだと思うから。

考えると

賃金が低すぎると、まじめに働く人ほど報われない仕組みになると思うから。

深く読むと

安すぎる時給は、働く人から、もうからない商売への仕送りになっている。それを断てば痛みは出るが、働き方ごと入れ替わる ── そこまで見て賛成。

ただし本当にそうなるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

賃上げを求める組合や団体は、引き上げが決まるたびに、組織の力を示せるから。

深く読むと

「働く人のため」と言いながら ── 上がれば自分たちの手柄、上がらなくても「まだ闘える」。どちらに転んでも、影響力と票が増える側が、この看板を持っている。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「働く人のため」。中身は、上がっても上がらなくても増える影響力。反対側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「働く人の側に立てる人」でありたいから。

考えると

働く人の暮らしを大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

賛成と言うだけで、「働く人を見捨てない側」に立てる。自分の時給が一円も変わらなくても、その居場所は手に入る。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

物価が上がっていくなか、自分や家族の暮らしが沈んでいくのが、こわいから。

考えると

働いても生活が苦しいままの未来が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

バイト先でもネットでも「時給安すぎ」の声ばかり見るうちに、それがそのまま自分の意見になっていたから。

考えると

「この時給じゃ生活できないよね」の輪のなかで、「でも上げたら店がつぶれるかも」とは言いにくい。飲み込んだ一言の分だけ、輪の声はそろっていく。

反対

「引き上げに反対」の人は、何を見てる?

同じ「反対」でも、理由も深さもこんなに違う ── 賛成側とまったく同じ目で見ます
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

身近に小さな会社をやっている人がいて、これ以上の賃上げは難しいと聞いてきたから。

考えると

自分の地域で、最低賃金の引き上げで、お店や中小企業が消えていく経験を、近くで見てきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が損をするから
すぐ思う

自分の業界の人件費が増えると、結局は値上げで自分の家計に返ってくるから。

考えると

中小企業の経営が苦しくなると、自分の取引や仕事にも影響が出ると思うから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

賃金は、会社が払える範囲で決まるべきだと思うから。

考えると

無理な引き上げは、結局は雇用そのものを減らすことになると思うから。

深く読むと

時給の数字は法律で上げられても、その値段で雇い続けるかどうかまでは、法律では決められない。真っ先に消えるのは、いちばん守りたかったはずの人の仕事。

ただし本当にそうなるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

人件費の割合が大きい商売ほど、引き上げの分は、そのまま利益から削られるから。

深く読むと

「雇用を守る」と言いながら ── 守れたかどうかは、あとから誰も数えに来ない。抑えた人件費だけが、確実に手元に残る。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「雇用を守る」。中身は、確実に手元に残る人件費。賛成側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「現実を見て判断できる人」でありたいから。

考えると

中小企業や地域の経済を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「経営の現実を知る自分」を名乗れば、賛成の人に「数字が見えていない」という札を貼れる。立場が、そのまま議論の武器になる。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

賃上げで自分の仕事や取引が消える将来が、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。

考えると

地域の小さな会社が次々に消えていく景色が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

付き合いのある社長たちの「もう限界」というため息を聞くうちに、それが自分の実感になっていたから。

考えると

「上げろと言うのは簡単だよね」とうなずき合う集まりで、自分だけ首を横に振るのは難しい。うなずきの数も、空気の材料。