農業は、守るべき?
──でも「なぜ?」は、人によって全然ちがう。
A ── ふつうの感覚

「親戚の農家の苦労を、見てきたから。」

B ── 一歩深い

「食べ物を作る仕事は、国の土台だから。」

C ── かなり先を読む

「『食料の安全のため』── ええ、ついでに、補助金の配り先を聞かれずにすむ静けさもね。」── そこまで計算してる

同じ「賛成」でも、見ている世界はこんなに違う。

そして「食料の安全のため」という言葉は、たいていいちばん深く読む人が考えて、いちばん何も知らない人に向けて作られている。

※この1枚も、立ち止まってもらうために、わざと単純にしてある。「何も知らない人」は悪口ではなく、興味のない話題での私たち全員のこと。「なぜ?」の中身は、この下に ↓
このページは、「読み方」(3つの問い・4つの約束)が前提です。はじめての方は、先にそちらを。
賛成

「保護・補助を維持」の人は、何を見てる?

同じ「賛成」でも、理由も深さもこんなに違う
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

身近に農家の親戚や知人がいて、その苦労を見てきたから。

考えると

自分の故郷の田畑が、ひと夏で荒れていく経験を、近くで見てきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が得をするから
すぐ思う

いざ食べ物が足りなくなったとき、国内で作れる場所がないと困るから。

考えると

国産の食べ物の方が安心して買えるので、それを守ってほしいから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

食べ物を作る仕事は、国の土台だと思うから。

考えると

効率だけで判断できない、文化や景観や地域があると思うから。

深く読むと

農業は、止めてもあとでまた動かせる機械とはちがう。手放した土と人は、お金を積んでも、ひと世代では戻らない。

ただし本当にそうなるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

補助金は農家だけでなく、機械や肥料や流通など、取り巻く業界の売り上げにもなっているから。

深く読むと

「食料の安全」と言いながら ── この看板の前では、補助金の配り先を問う声が「食を軽んじる声」に変わってしまう。お金の流れを聞かれないこと、それ自体が一番の利益。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「食料の安全」。中身は、配り先を問われない補助金。反対側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「地方や食を大事にする人でありたい」と思うから。

考えると

日本の食と地域を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「食とふるさとの側」に立てば、まず疑われない。守り方の中身を問う人より、「守る」と言う人の方が、善い人に見える。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

世界が荒れたときに、食べ物が手に入らなくなる景色が、こわいから。

考えると

地方が消えていく未来が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

「農家さんは大変だね」を、疑ったことがないから ── 疑わずにすむ意見は、まわりと同じ意見でもある。

考えると

実家の米をもらい、直売所の野菜をほめる暮らしの中で、「補助金は減らすべき」とは言いにくい。その遠慮ごと、自分も空気を支えている。

反対

「改革・市場に開く」の人は、何を見てる?

同じ「反対」でも、理由も深さもこんなに違う ── 賛成側とまったく同じ目で見ます
① すぐ思う(直感)
② ちょっと考えると
③ かなり先まで読むと
きっかけ 1
身近な経験
自分や周りの体験から
すぐ思う

身近に農業を継ぐ若い人がいなくて、補助だけ続いている経験を、見てきたから。

考えると

自分の地域で、補助に頼った仕組みが結局はやせ細っていくのを、見てきたから。

きっかけ 2
自分の損得
自分が損をするから
すぐ思う

国産だけだと値段が高すぎて、家計が苦しくなるのが嫌だから。

考えると

税金で支える農業の負担が、自分や家族にも回ってきていると感じるから。

きっかけ 3
信じている考え
大事にしている価値観
すぐ思う

補助に頼る仕組みは、本当の競争力を弱めると思うから。

考えると

強い農家や新しい挑戦が伸びる仕組みに変えるべきだと思うから。

深く読むと

枯れない程度の水やりは、根を深くしない。守られながら細っていくより、市場に根を張らせた方が、結局は残る。

ただし本当にそうなるかは専門家でも結論が割れる。深い=正しい、ではない。
きっかけ 4
商売の損得
会社や業界の損得
考えると

市場が開けば、大きく作れる会社と安く仕入れたい側に、新しい儲け口が生まれるから。

深く読むと

「改革」「消費者のため」と言いながら ── 市場を開けと言う側は、開いた市場で真っ先に土地や作物を買う側でもある。「みんなのため」は、安く仕入れたい側の言葉にもなる。

★ いちばん巧妙 ── キレイゴトで本音を包んでいる
見た目は「効率と消費者のため」。中身は、開いた市場で真っ先に買う側の商売。賛成側にも、向きが逆の同じタイプがいます。
きっかけ 5
自分らしさ・仲間
どんな自分でいたいか
すぐ思う

「現実を見て判断できる人」でありたいから。

考えると

効率や挑戦を大事にする仲間と、考えを合わせたいから。

深く読むと

「古い仕組みと闘う自分」は、闘っているあいだ、ずっと新しい側にいられる。倒す相手がいるうちは、自分の答えまでは問われない。

きっかけ 6
不安
ばくぜんとした感情
すぐ思う

補助に頼り続けた農業が、結局は崩れていく未来が、こわいから。※「不安だから動きたい」という感情のかたちは、賛成側とまったく同じ。向きが違うだけ。

考えると

変えられないまま、農業も地方もやせ細っていく景色が、不安だから。

きっかけ 7
まわりに合わせる
周囲がそうだから
すぐ思う

職場の「農業って税金で持ってるんでしょ」という軽口に、笑って返してきた自分がいるから。

考えると

数字で語る仲間の前で、「でも田んぼには値段のつかない値打ちがある」とは言い出しにくい。黙った分だけ、改革の空気は濃くなる。